『ダップルグリム』-「ウインドアイ」より
2019/7/17 水曜日
今日浜辺で「ウインドアイ」を朗読した。
読みながら波を見ていると、
物語と波の動きが共鳴したような気がした。
世界で起きるあらゆる事は、
どこかすごく似ているのかもしれない。
「ウインドアイ」という本は短編集で、他のタイトルの作品も収録されている。
今日読んだ「ダップルグリム」は、親の遺産として相続した一匹の灰色の馬に殺しを強制される男の物語である。
最後、王様になった男は、「お前」と呼びかけて、こう言うのだ。「私に仕えることは、つまり灰色の馬に仕えるということだぞ?覚悟はいいか?」と。
本作とその他の作品にも共通している点はまさにこれだ。物語と観客との距離・隔絶が最後一瞬でなくなることだ。主人公の物語を知ってしまった読者に対し、もう他人ではないんだぞと物語から語りかけて来る。ずっと背を向けていた人間が急に後ろを向いて私の方へ不敵な笑みを向けてくる感じだ。すると次の瞬間、私は架空であったはずの物語の世界の一部に組み込まれている。読み終わった後、必ず私はさらわれている。
この本は、海外文学を出版する新潮クレスト・ブックスが扱っている。奇妙な海外文学はここから探してみるのが良いだろう。
https://www.shinchosha.co.jp/sp/crest/index.html?query=&series=20&start=20#result-list