血肉にする習慣② 五十嵐大介「ウムヴェルト」

2019/7/8 月曜日

 

 

五十嵐大介 「ウムヴェルト」より

『ガルーダ』

 

若い青年が

老婆の若かりしき頃の記憶を

掘り起こす

 

誰かの姫、誰かの踊り子であった時代

 

ガルーダは、

伝説の巨鳥

 

ガルーダの舞は、

「人が小鳥に生まれ変わり

   やがて美しいガルーダに成長する」

 

踊り子と衣装の再会は

変身の前触れ

 

踊り子は小鳥と共に踊る

いつのまにか2つは1つに

そして飛び立つ鳥になって

 

老婆は気づく

 

死は切断ではない

生の延長に

ある瞬間から形を変えた生が続く

 

姿、形が変わるのなら

感じる世界も時間も違うかも?

 

例えば私はハエくらい小さくなって 

でもあなたは一瞬通り過ぎる小さな黒い点には気付かずに、私が死んだ事を悲しむのね

 

死ぬ事は存在しなくかることではないの

存在を感じられなくなることなのでしょう

 

そのくらい「存在する」ということは

曖昧なものかもしれないわね

 

人の死は

他の生物へ変身する事かもしれない

他の生物の生と融合することかもしれない

 

そしたら私も

彼らと同じ環世界。