血肉にする習慣⑤ 五十嵐大介「そらとびタマシイ」

2019/7/12 金曜日

 

今朝デイヴィット・リンチのエッセイを読み終え、最後の文が素敵だったので記す。

 

今日体験したあらゆることが、

私を何度となく始まりの場所へ連れ戻す。

真の幸福は内にある。

 

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五十嵐大介「そらとびタマシイ」を読んで

 

 

本作に登場する半獣の女の子を思い出すと

後頭部がかゆくなる。

後ろに視線を感じているからかもしれない。

私を想う霊の視線かもしれない。

 

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「そらとびタマシイ」

 

動物の死と私の生が繋がる瞬間は

日常にいくつもある。

 

少女A

「だって私はお腹がすくのだもの。

   それは生きてる証拠でしょ。

   生きようとしている証拠でしょ。

   お腹がなるのは、

   私の生が唸り声をあげてるからなの。」

 

半獣の少女

「死んでしまったあの人の穴埋めを

   別の種の動物に求めることだってあるわ。

   そしてその動物は私の一部に

   なることだってあるの。

  人間の一部は別の種の動物で出来ている。

  人はお腹が空いたら肉を求めて食べるもの。

  それが私たちに食べられる相手も

  あなたを求めていたとしたら

  あなたの体と相手の体が融合してしまっても

  おかしなことじゃないでしょ?」

 

少女A

「私は父が死んだ時も母が死んだ時も

   お腹がなっていたの。

   どんなことがあっても食えるうちは

   大丈夫だって父は言っていた。

  でも、もし私が食べた動物たちの魂が

  ある無念と繋がって

  私の体に取り憑いてしまったら。

  霊と私の魂が絡み合って

  解けないとしたら。

  今度は取り憑いた動物の霊が

  私の魂を食べてしまうとしたら。

  私の抵抗はやっぱり

  私の『生きたい』という願いからやってくる

  日々の食事なのだろう。

  私は毎日食べ続ける。」

 

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毎日の食事が

私を想う霊への礼儀と

私の貪欲な生のためであることを

祈りましょう。